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農業とキトサン~無農薬、力ニ殻農法とは !


無農薬、力ニ殻農法とは
日本カニ殻農法研究会会長 名和川修

土の中の微生物を大切に | 畑に生える雑草は大切な肥料 | カニ殻で作った肥料をどのようにして使うか | カニ殻から作った散布液 | 私の体験と事例 | 他の事例と考察 | 終わりに


私達の畑や水田に、全く農毒薬を持ち込まない。使わない。考えない。

1.土の中の微生物を大切に

土壌には、無数の微生物や小動物が棲息しており、土の性質を良くし、肥料を分解して、作物の生育に必要な養分を吸収し易くしたり、害虫や病原菌の発生を防いだりしています。

ところが今、日本全国の畑や水田、庭園、ゴルフ場、道路の法面、山林など雑草の生える土地にいかがわしい除草剤がふんだんに使われています。

ある白ねぎ産地では同じ畑で年4回作っていますが、そのたびに、猛毒のクロールピクリン系の農毒薬を土壌に潅注して線虫を駆除しています。

これらの農毒薬によって大切な土の生命は完全に死滅しているのです。このような畑や水田で作物を作りますと病気や害虫の発生が激しくなります。したがって、種子を播くとき、苗を植えるとき、生育中など10回以上多量の農毒薬を使っています。

そのため、まず作る人が農毒薬の汚染で、50代位で、他界する例が大変多くなっています。野菜の特産地ほどその傾向が強くなっています。

医療界では「たばこ」の喫煙はガンの発症率が高いからと言いますが、それ以上に猛毒を使っている百姓は大変に危険です。

白ねぎの特産地のある集落60戸のうちで60才代で夫婦2人働いている家は2~3戸、殆どが独身の老人達、若い夫婦はサラリーマン。この老人達が働かなくなれば白ねぎは無くなるだろうと産地の世話役さんがぼやいています。

2. 畑に生える雑草は大切な肥料です

私の茶畑三町歩は今(7月下旬) 一面に雑草がおい繁ってます。家族一同、パートで来ていただく婦人達も良い肥料が沢山できたと喜んでいます。 畦間の草は刈り払い機で、畦の中の草は手取りしています。

雑草が良く生える畑ほど香り高く美昧しい煎茶、番茶が沢山収穫できます。刈り払い機や手どりの除草経費と除草剤とその散布労働を比較してみると3分の1程度ですから一石五鳥位の効果があります。

3. カニ殻で作った肥料をどのように使うか

(1) カニライム

カニ殻を乾燥粉末したものです。これに、魚粉、米ぬか、雑草などそれぞれの地域で割安に入手できる有機質原料があれば何でもよいのです。

素種に私は健康食品アミノン酵母(固形) を10本粒位ぬるま湯(40℃位) で溶解して米ぬか5升位に合わせて発酵させます。この素種に約10袋(15kg 1袋) の米ぬかにさらに繁殖させて前出の原料に混合します。

1カ月(夏期)か2カ月(冬季)で十分に発酵してきます。発酵期間には1日に2回位、トラクターのロータリー爪で撹枠しています。

この発酵有機肥料を少々(50kg)位残しておき、次回仕込時の素種にしています。初回から10年位になりますが今は素種作りはやっていません。 茶畑に年間1 反当たり1~l.55トンも施用します。従って冬40t、夏30t位作ります。

この肥料は良質の石灰分を多く含んでいますから、工場廃棄物の石灰質肥料などを一切使用する必要はありません。そして土壌を汚染することなしに土質の改良ができます。

この肥料は発酵させていますので、速効性と緩行性とを併せもつ特徴があります。

元肥、追肥とも同じように安心して使うことができます。庭木、鉢物などすべてに施用できます。茶畑の春肥(3月中旬-4月上旬)は畦間に一杯草が生えています。

その上に施用し管理機(小型耕運機)で浅く耕すと肥料と草と土の三者がうまく混合して絶好の有機肥料となり、病害虫の発生も防ぎ、良質の緑茶ができるのです。やさいなどは元肥追肥とも何時施してもよく、本当に美昧しい野菜が収穫できると喜んでいます。

米作りには1 反歩当たり5袋(75kg)を施用してコシヒカリ540~600kg、酒造好適米「五百万石」は一切の追肥なしで500kg収穫。これを醸造した酒が格別に香りうまみ、コク味が良く大変に好評です。

作物を栽培するときに、イネ、野菜、果物すべての作物ごとに肥料成分チッソ、リンサン、カリ何キロを元肥では何キロ追肥では何キロと、きめ細かく栽培暦などで指導されています。

従って成分量が不足するので化学肥料を混合施用するのが常識になっています。ところがカニ殻肥料は土の中で急速に根粒菌を繁殖させます。したがって優秀なチッソ肥料を施したことになります。

そのうえ、リンサン、カリ、微量要素なども併せ可給態の成分に微生物が作り出す効果もあります。

硫安や塩安などの生まれ故郷は製鉄工場やガラス工場で、その廃棄物です。例えば硫安には21%のアンモニア態チッソが含まれ、残りの79% の大量の物質は土壌中の有用微生物の棲息を極度に悪化させます。

従って3要素をいくら施用するかなどというような、試験管の中からものをいうような今までの考えを先ず捨て去ることです。

(2) カニペレット

カニライムに含むキチン・キトサンの肥効を高め、施肥作業の効率化をねらいに、魚粉、米ぬかを加え、イワシ、サバの煮汁を注入してねり込み、ペレットにしました。

イネの元肥、追肥には水が媒体となり最適です。ヤサイ、果物、花木類は元肥施用。

4 . カニ殻から作った散布液

( 1 )キチントップ

キトサンの低分子、高分子を含んでおり、植物の茎葉に散布すると植物の生理作用によって病原菌の発育機能が減退。害虫は3百倍液位で、ワックス処理作用により呼吸器官を密閉、窒息死させると、同時に肢、関節を固着させるので、飛朔、歩行ができなくなり、速効的な殺虫力があります。 種子の予措8百倍液で1昼夜浸漬、害虫多発園場では3百倍で4百L散布。病害虫予防には5百倍液を3百L散布。

( 2 )アミノ酸リキッド

イワシ、サノバの煮汁とキチントップの混合液を酵母で醗酵処理した散布液。良質のアミノ酸を含有した栄養剤です。

速効性ですから散布後2日位で葉縁素の活性が高まり、美しい緑色となり、作物のうま味が向上します。花弁類などは品種固有の色彩が鮮明となります。

散布液の濃度は3百~4百倍液とし、キチントップと混用すれば、作物の栄養向上と殺菌、殺虫、予防の効果があるので省力的な作業となります。

5. 私の体験と事例

( 1 )私の茶園3町歩の場合、散布液の調合と濃度、散布量など。

〇一茶摘みとり前(4月)
キチントップ5百倍、アミノ酸リキッド3百倍、焼酎35℃ 5百倍、クロレラ5百倍(1992年より) の4種類を混用して1反当たり3百L散布します。 仕上げ煎茶の特上品が多収できる園場では、2回~3回散布します。この場合には、茶摘み2 日前まで散布します。

人間誰しも欲がありますが、私は製茶工場の規模、茶摘み機械及び労働、製茶作業、その諸経費投入限界などを組み合わせ、毎年良質多収園場と面積を決定しています。

〇二茶摘み前(一茶終了後から6 月下旬まで)
二茶期に入る頃になりますと高温多湿の天候が続きますので病害虫の発生が多くなるのが当然です。

したがって、一茶期に散布した調製液に良質の木酢を7百~千倍液として調合します。一反当たり4百L散布します。 良質の木酢とはタール分質を完全に除去し熟成したものです。

〇三茶期から秋冬番(8月から10月)
炭素病、餅病などの発生が多くなる季節ですから二茶期に調合した木酢を濃度を高め、5百倍とします。 茎葉の繁茂量が二茶期に比較して、倍位になりますから一反当たり散布量は4百から5百Lと多くします。

( 2 ) 確認にしたことと考察

〇10年前までは、化学肥料を施用し農毒薬散布でした。3月中旬越冬ダニを防除しでもー茶摘み頃になる猛烈なダニの発生で4反歩位茶摘みを放棄した畑もありました。(萌芽期の硫安施用とダニの繁殖)

夏期発生するクワシロカイガラ虫の防除に、農毒薬6百L位散布しでも秋になると、茶樹が枯れる園場もありました。

ところが完全に無農薬カニ殻農法に切り換えてから年々病害虫の発生が少なくなり、現在では完全に収穫ができるようになりました。

〇アミノ酸栄養剤(キチントップなど混合液: 筆者名称)は、人が直接口にしても全く、毒性がない物ばかりかむしろ栄養的な素材ですから、散布作業後の疲れや農毒薬のような汚染がないばかりか快適で、健康そのものです。

除草剤は畑の中はもちろん、法面にも散布しません。除草剤は土壌微生物の生態系を悪くするばかりか、人間にも猛毒性を現わす恐ろしい毒物です。 隣町のシルバー人材センターから茶畑の草とりにきた人達が夜ぐっすり寝られて、翌朝とっても気持ちよく元気になった。1週間前ゴルフ場の草とりに行ったときは疲れがひどく、2日位で休む人が多かったが、ここの茶畑はとっても気持ちが良い。

〇害虫は散布中に殆ど殺虫でき、ダニ類は翌日にはまで死滅する効果があり、秋頃発生する炭素病は病班1cm位であれば10日位で治療されて細胞が賦活してきます。

〇害虫発生時期には新芽、展開葉初期の段階で実体顕微鏡を茶園に持ち込み、それぞれ害虫の行動、産卵状況を検視し散布後、約1時間、翌日に再度その状態を観察し、活発に行動するダニなどを発見すれば直ちに散布する。このような生存害虫は散布ムラがあることに起因します。

〇除草剤は全く使いません。一茶前(3月中旬-4月上旬)雑草の上にカニ殻ボカシを施用し、管理機で中耕するとキチン・キトサンの菌叢が草と土へと拡がっていきます。したがって早く土が良くなります。

7月から8月には茶畑一面に雑草が生い繁ります。この草は刈払い機で刈倒せば、畦間に伸びている茶の根群の環境が良くなります。

〇茶の芽が伸びうまい緑茶が沢山できると考えられるときに茶摘みして製茶する。天候、季節に順応して作業することを基本に作業すれば苦しいと思うことが楽しさ一杯になってきます。

6. 他の事例と考察

( 1 )イネ作り、アミノ酸栄養剤数本だけでコシヒカリ1反当たり6百kgの収量。二化螟虫やウンカが水面に白くなるほど殺虫され、紋枯病も同時に防除できた。

( 2 )ハウスイチゴ、市場で 1パック当たり2百円以上の特別価格で販売している。

( 3 )温州 ミカン、表皮が色彩鮮明でうまみ、コク昧が高く東京市場で特別販売となった。

( 4 )白ネギ、全く病害虫が発生せず、食味か化学肥料栽培に比較にして大変向上し現在特別販売を考えている。

( 5 )松喰虫の防除に最適。

35戸の集落で庭の松が32戸まで、枯れたが、3戸は毎年美しい緑が一杯だ、アミノ酸栄養剤のおかげだと喜んでいます。島根県出雲市の樹医が驚いています。

7.終わりに

( 1 )消費者の皆さんと、作る百姓の出合い、話し合いが基本的な課題です。完全無農薬栽培の野菜など、形や日持ちなど外見のことを考えれば相当高価になり消費者、百姓のためになりません。百姓の畑で皆さんにみていただくことが肝要です。

( 2 ) 現在の流通機構では規格の整ー化、小売店の店先で何日日持ちするかが価格形成の基本になっています。

野菜、果物中心のあるスーパーを私がこっそり調査してみました。専用の保冷庫から300℃以上ある店先に並べます。夜になるとlO℃以下の保冷庫に入れます。

暖められたり、冷やされたりのくり返しが続く。野菜にも尊い生命があります。1日中恐ろしい環境下にさらされているのです。

それを人間が食べれば、農毒薬の毒性が倍加して内臓諸器官に襲いかかってくるのではと心配です。

( 3 )消費者の皆さん方が食べ物の選択の自由をもっともっと広げていかなければ子供、老人はもとより私達働き盛りの人達も病気で倒されてしまう。 食べていただく人が居るから百姓はがんばっています。

この両方の人達の出会いを大切に私達百姓の収穫の喜びを1日も早く消費者の皆様方にお届けしたいと毎日念願しています。

(出典:「キチン・キトサン協会誌」VOL.5~6より)


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①稲作への力ニ殻(キチン・キトサン)の応用 ②ポストハーベストのはなし ③作物はなぜ病気に罹るのか
④温醸醗酵について ⑤コメづくりの基本として ⑥私のイネづくりのやり方



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